秋になり田舎の家の中にいつのまにか鈴虫が入り込み、一晩中涼やかな鳴き声が家中に響きます。
今朝明け方にいつものように鈴虫の声を集中して聞いていた所、ふと20年前にインドで体験した事を思い出しました。
南インドのアルナーチャラ聖山はヒンディ教徒の聖地です。
昔、ラマナマハリシという類稀なる素晴らしい聖者が麓のアシュラム修行所に居たのです。
笑顔の美しい聖者で、シヴァ神と完全に溶け合っているとの評判でしたので、世界中から聖者を慕って会いに来られていたそうです。このアシュラムに滞在した時、素晴らしい神秘体験がありました。
滞在者はラマナマハリシがいつも瞑想していた小部屋があり、そこで自由に過ごすことができます。
パートナーと私は、ラマナマハリシがいつも使っていた美しい長椅子の側で瞑想していました。
部屋の外を歩いている人の足音や声、孔雀がハローと大きな声で鳴いているのを聞きながら静かに座っていたのです。
すると突然、外で聞こえていたはずの物音や孔雀の鳴き声がいきなり内側で大きく響いてきたのです。
とても驚き、そしてこの体験をじっくり味わっていました。
瞑想から醒めてこの体験をパートナーに話した所、なんと彼も同じ体験をしていたのです。
更に驚きました。
どうやらラマナマハリシはここで瞑想する人に素晴らしい体験をプレゼントしてくれるようです。
アシュラムでは、プラサードという神様からのプレゼントをいただきます。もうひとつのプレゼントはランチです。
皆さん静かに座って、バナナの皮に沢山盛られる食事をありがたく味わっていただきます。
その時、目の前に座っていた黒髪の女性の様子が気になったのです。
彼女は明らかに三昧状態で、聖なるエネルギーに酔っていました。一口味わっては涙を流し、また一口味わってはうっとりとしているのです。
その姿は有名な(至福に浸る聖者アーナンダモイマー)にそっくりなのです。
とても質素な白いローブを着ていて、何の飾りもつけないのにこの世のものとも思えないほどの美しさです。
その姿はオーラにあふれていました。
しばらく経っても彼女は同じ状態で、食事が終わるまでそこに静かに座っていました。
私たちは食事を終え、もう一度ラマナマハリシの瞑想ルームに戻って瞑想に入りましたが、先程のような体験はありませんでした。
そして目を開けた時、目の前で先ほどの美しい女性がまたうっとりと聖なるエネルギーに酔っていたのです。
びっくりしました。
もしかしたら時間を超えてアーナンダモイマーが姿を現してくれたのかもしれません。
しかも、周りの人は彼女に全く気づいていないのです。もちろんパートナーもそんな人がいたのか?と言うのです。
感動しました。私にだけ姿を見せてくれたのです。
ラマナマハリシは私たちに素晴らしいプレゼントをくれました。人が望めば彼女のように素晴らしい存在になれる事を見せてくれたのです。
今朝、静けさを味わいながら鈴虫の声を聞いていた時にふと思い出したインドでの体験です。
インドでなくても日常の中でいつでも聖なる存在は側に居てくれる事を実感した出来事でした。
「今朝も、静けさを味わいながら鈴虫の声を…」
心打たれました。私も、日常生活の中で、「味わう」ということをやってみます。