インドに行っていた頃のお話です。ある人がディクシャ関係の本に記事を投稿されていてそれを読みました。
以前広島の奥屋インターのパーキングエリアで起きたバスハイジャック事件に関する内容でした。
まだ20代の若い男性が高速バスの中で刃物を振り回して何人かに切り付けてしまいました。
約1日間くらいバスの乗客が拘束されていましたが、翌日に取り押さえられ逮捕されました。
その事件から何年か経ってその時に被害にあったある女性に新聞記者がインタビューした時のお話です。
新聞記者は顔を傷つけられたその被害者に、
「犯人が憎くないですか?女性の顔にこんなひどい傷を残すなんて」と聞いたのだそうです。
するとその被害者の女性は、
「いいえ。私はこの顔の傷が痛むたびに、こんな事件を起こさなくてはいけないほど辛い人生を生きてきたのかと思うと心が痛むのです。今彼は癒されているのでしょうか?」と答えたと言います。
その記者は深く感動して新聞のコラム欄に書いたと言うことでした。
この女性はあまりの出来事に自分が被害者であると言うことを完全に超えてしまい、加害者である男性を愛で包んでしまったのです。
人間は窮地に立たされると本来内側に眠っている慈愛や思いやりの心が芽生えると言います。
おそらく考えてそうなったのではなくハプニングだと思います。
「愛は必ず勝つ」
と信じたいと思っていましたがそれは本当だったんですね。