星野道夫 

bear on meadow in autumn

世界的に有名な星野道夫さんの撮られる写真がとても心を揺すぶられます。

以前、ガイヤシンフォニー第四番に出演中のカムチャッカでヒグマに襲われて命を落とされました。

映画は中断せずそのまま彼を偲ぶ内容で続行され、彼が生前に仲の良かった身近な人々の取材で映画は構成されました。映画は命について描かれており内容が深く名作となったようです。

彼の書かれた随筆集と写真集を何冊か持っていたので、時間のある時に眺めてはアラスカの雄大な大地に息づく野生の動物や、植物を眺めるのが好きでした。

その中でも特に気に入った一節があります。

彼を取材するためにある出版社の記者の女性がアラスカに同行した時のお話です。

彼はとても穏やかな喋りで瞳はどこまでも深く温かくとても温厚なイメージです。

アラスカの自然は彼女に大きな印象を残しました。

特に鯨を間近で写すために船に乗り込み取材をしていた時、いきなり鯨が目の前で大きく立ち上がり汐を吹いたのです。大変な衝撃だったと言います。

その他にもツンドラ地帯でのカリブーの移動や、あたり一面に実るベリーの美しさや、ヒグマの親子の愛らしさや、さまざまな素晴らしい風景を目の当たりにして、彼女の人生は大きく変容したようでした。

星野道夫さんはこう付け加えます。

「あなたが都会に帰って、狭いオフィスで仕事をしているその同じ時間で、地球のどこかで鯨が汐を吹いて立ち上がったり、はるか彼方までカリブーが移動したり、そんな時間が流れていることを忘れないでいてくれたら、都会の喧騒に飲み込まれることなく生きていけるかもしれない」と。

Kさんは毎日朝早くから夜遅くまで会社で仕事をし続け、疲れ切ってうちのスタジオに来られました。

懸命に会社の期待に応えようと身を費やしてまで働いている姿を見た時に、その取材に同行した女性のことを思い出したのです。

それでKさんに星野道夫さんの写真集をお貸しすることにしました。

感じ方は人それぞれですが、私にはその写真集がとても心に響いたのです。悠久の時を感じとても癒された記憶があるのでそれを伝えました。

Kさんはとても喜んでくれました。そして私がこの写真集に託した思いも汲んでくれたようでした。

私の夢は今SKコースを受けている皆さんと一緒に、星野道夫さんの写真展を見に行くことです。

私たちが生きているこの現実のみが人生ではないと。目の前に現れているのは現世(うつしよ)であり幻想の世界だといわれています。その背後にあるのが本当のあるべき世界だということになります。

星野道夫さんの写真はそれを映し出しているように思えて、何度拝見してもその世界が写っていると思えるのです。

素晴らしい写真家ですよね。

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