ありがとうございました

unrecognizable couple holding hands at sunset

以前にヒーリングに来られた方のお話です。

彼女は、ボブヘヤーがよく似合うなかなかの美人でした。ご両親と3人暮らしの一人娘です。頻繁にではないですが時々ヨガやヒーリングに参加していました。

ある時、突然お父さんをヒーリングに連れてきました。お父さんもさすがになかなかのイケメンで若い頃はよくモテだだろうなという感じです。

しかし、彼女はとにかくお父さんにとても辛く当たるのです。お父さんはそれが辛いらしく、可愛くてしょうがない娘の様子を見てはオロオロしています。

なぜそんなにお父さんに辛く当たるのかと尋ねたところ、お父さんは若い頃から浮気し放題で夜遅くまで飲んだり、休みにはゴルフ三昧と家庭を顧みることはなかったそうです。

彼女は毎日泣いているお母さんをかばって生きてきました。そのおかげで彼女は男性不信が強烈で未だに結婚していません。

しかし、そのお父さんが前立腺癌になったのです。それでヒーリングに来られたということですが、すでにホルモン治療がスタートしていました。

前立腺癌はできたところが良ければ手術して抗がん剤もなく生存可能です。しかし、手術できないところにできてしまえばホルモン治療しかなく、しかも女性ホルモンを投与するので半年くらいはガンは動きませんが、効かなくなるとあっという間に背骨に癌が広がってしまうのです。

お父さんはその手術ができないところに癌ができてしまいました。娘は、お父さんが浮気ばかりしてお母さんを泣かせたので、バチが当たったと暴言を吐くのです。

心が痛みました。彼女の気持ちもわかるからです。

私は彼女にお父さんを許すように何度もアプローチしましたが、なかなか難しいテーマだったようです。

ところが奇跡が起きたのです。

私にハプニングが起こり、8年間音信不通だった父親に偶然ばったり出会ったのです。その時、永いこと許せなかった父親に対し一瞬で許しが起こったのです。

その話を詳しくブログに書いたので、彼女はそれを読んだのです。そして私にメールをくれました。私もいつ命が終わるかわからない父親を許したいと言って来たのです。いろんなお話をして彼女をサポートしました。度々私に連絡をくれました。一緒にお父さんを癒そうと懸命になっていたのです。

しかし、お父さんの病状は悪化の一途を辿るしかありませんでした。それで彼女は会社を休んで、ひとときも離れず世話をしながら、ありったけの思いをお父さんに伝え続けたのです。

「お父さん大好きだよ「お父さん愛してるよ」

それは昼も夜も無く続けられたのです。私も寄り添っていました。そしていよいよ最後の時が近づいて来ました。

お父さんは病院に入院して最後の治療を受けることになったのです。彼女は集中治療室に車椅子で入るお父さんに声をかけたのです。

するとお父さんは振り向いて、大きく手をあげて「⭕️まる」を作ったのです。

そして亡くなっていきました。彼女から連絡が来てお通夜とお葬式に参加しました。

生前、大きな会社の幹部だったので大きなお葬式でした。彼女は無くなったお父さんの遺体に向かって大きな声で「るい子さんが来てくれたよ」と叫んだのです。

するといきなり大きな声が聞こえました。

「ありがとうございました」

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